ドゥカティ浜松
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定休日:毎週水曜日、第1第3第5火曜日
こんにちは!
10月26日(土)、27日(日)の2日間、全日本ロードレース選手権JSB1000最終戦を社長の鈴木と私馬場、現地の鈴鹿サーキットへ行ってドゥカティを応援して参りました(^^)/
レースは果たして何がそんなに面白いのだろうか。
熱狂的なファンも多いバイクレースですが、その魅力はレースごとに違います。
世界には様々な種類のバイクレースが存在し、その中でもドゥカティはロードレースに力を入れています。
ロードレースで有名なのは「motoGP」世界最高峰のロードレースです。各メーカーが威信をかけて世界最高のマシンを作り上げ狭き門を潜り抜けたトップライダーによる、世界の1番を決めるロードレースです。
そしてWSBK(ワールドスーパーバイク)。
こちらはmotoGPと違い”市販車ベース”となる選手権です。
市販車の価格も500万円まで(2024年現在)と決まっており、かけられるコストが決まっている中で争います。
量産市販車で一番速いメーカーを決める選手権で、市場の売り上げに直に影響しやすいレースとも言え、もともとmotoGPなどで戦ってきたライダーなど、こちらもトップレーサー達と契約をして世界で一番速い市販車を決めます。
さて、では今年からTeamKAGAYAMAとタッグを組んで参戦しているJSBとは何なのか・・・
これは全日本ロードレース選手権といってWSBKと同じく市販車をベースとしたレース車両を使用した日本国内最高峰のロードレースで、その中の排気量600~1200cc(気筒数などにより規定)クラスの事をJSB1000クラスといいます。
今回はこの最終戦を見に行ったレポートと、今日本のロードレース界がおかれている現状について書いていきたいと思います。
さて、まず初日。
鈴鹿サーキットに訪れるのは2度目となる私ですが、とっても楽しめたました!
各メーカーのブースがあり、また各ブースでそれぞれイベントがありました。
8耐との違いは選手との距離の近さ。
ブースに直接監督や選手が来てくれて、同じ目線で話をしてくれます。
他のブースでも沢山選手のイベントや企画をやっていたり、アパレルや小物のアウトレットをやっていたりするので、いろんなブースを先に回ってスケジュールをチェックすると◎です。
選手たちは予選、ウォームアップ、決勝、インタビュー、次の日の調整など様々なスケジュールの間を縫ってファンサービスをしに来てくれるので、一緒にいられる時間は僅かです。
しかし直接応援の声をかけることが出来、そんなファンを見て喜んでくれる選手の姿を見られるのが魅力!
選手やチームとの一体感がまたファンにとっても嬉しいのです。
そしてレースの前にはピットウォークがあります。
こちらは有料になるのですが、実際にマシンの整備やレースの準備をしているピット前に行って選手にサインをもらったり記念撮影をしたりと、トークショーよりもさらに近くで選手からファンサービスを受けることが出来ます。
世界のトップライダーであるmotoGPのピットウォークは勿論高額ですし、選手にもなかなかお目にかかれません。8時間耐久も人気レースの為、同じチーム、選手でもピットウォークのチケット代金はJSBに比べると少しお高め。そう思うとJSBは比較的安く手に入れられるので、是非ピットウォークやパドックパスは手に入れてください。2倍楽しめます。
さて、レースの前には「スタート進行」というのがあって、予選で決まった順位の位置に選手がバイクに乗って現れ、準備を整えていきます。
このワンシーンですね。
なんとこのスタート進行真っ最中の中に、一般人も入ることが可能です。
それがグリットウォークです。
テレビカメラがあるこの近さと全く同じ位置で各選手を見ることが出来ます。
ツナギを着て集中力を高めている選手を間近で見ることが出来、大変テンションが上がります。
因みに今回土曜日のスタート進行でDUCATIの旗を持たせてもらいました。
↑これ「馬場ちゃん抜かれてたよ」って言われたんですけど多分私が抜かれたというよりは、左端に映る岡本選手越しの中須賀選手を撮りたかったんじゃないかと思うんですけど、すみませんなんかその二人の直線上に私が存在してしまって。
ていうか絶対そうですよね。この後カメラ引きながら岡本選手に画面が移ったので、チャンピオン争いをしているこの二人を交互に映したかったんだと思います。
気になる人は下の動画の1時間29分45秒あたり見てください。マジでぜったいただ丁度邪魔な位置にいた女。恥ずかしい。
いやいや違う違う、私の事はどうでもよくて後半だけでもいいので今回のレースめっちゃ面白いのでレース決勝も見てください。
出きれば全部見てほしいですが、1時間57分頃からの水野選手の走りが最高です。
なぜ後半からなのかというと、これバニャイヤというmotoGPで走るドゥカティの選手も最近よくやるんですが、
前半から中盤にかけては前の選手の動きを伺いつつ後ろについていき自分のペースを守ってタイヤマネジメントをし、後半、相手のタイヤが消耗してきたところで一気に勝負をしかける走り方なんです。
ロードレースでは非常に高い速度域で走る為、あっという間にタイヤを消耗しグリップを失います。
後半になる程速く走ることが難しくなる。
しかし今回はタイヤを温存しながら走ったことで後半一気に畳みかけることが出来たのです。
デメリットとしては、前を走る選手のペースがあまりにも速いとマネジメントしていると置いて行かれてしまい後半追い付けなかったり、刺す(抜かす)ことが出来ない。マネジメントに失敗して後半グリップを失う。ペース配分をしていると後ろの選手と絡まないといけなくなる。また選手の体力、集中力も必要。
などなど、高度な技術が必要になる展開だと思います。勿論、チームメンバー達しか知らない事がもっと沢山た~っくさんあるんだと思います。こういう考察も楽しいんですよね。
そして2日目日曜日。
今回は土日で決勝レースがあり楽しい2日間でした。
レースの様子はこちらから1時間46分頃から始まります↓
2日目の展開の注目は、前半チャンピオン争いをしている岡本選手が一歩先を行くレース展開。
恐らく前日のレース結果(後半に刺す作戦)を受け、岡本選手は先行逃げの作戦。
マネジメントしている間に後続を出来る限り離し追い抜けなくさせる作戦ですね。
しかし水野選手、後半でしっかり追いつく。
先日の怪我の影響で2戦連続が厳しいのか、中須賀選手の調子が奮わずあっという間にパスし岡本君にピッタリついた・・・ところでまさかのセーフティカー。
これはかなり厳しいです。
後半転倒した車両の破片がコース上に残っているということで、その破片の処理をしている間はセーフティーカーといって先頭はそのセーフティーカーのペースに沿って走らなければなりません。
勿論後続は詰まります。仲良くツーリングレベル。
つまり、今までのレース展開とは関係なく、リセットされた状態でのスタート。しかしもちろんマシンやタイヤのメンテナンスは許されません。この周回数では中止になればそのままレース成立、現在の順位がそのままレース結果になってしまいます。
さらに再スタートしても水野選手にとってつらいのはタイヤ温度も冷えてしまうことです。
レース直前までウォーマーで温める程温度管理がシビアなタイヤ。
スピードが落ちるとタイヤの温度が下がって本来のグリップを失います。
特に今回水野選手は後半までグリップを保つハードタイヤを採用していた為、再度温めてグリップ力を戻すにはミドルやソフトのタイヤを嵌めている選手に比べると時間がかかります。
さらに、本来であればセーフティーカーが入っている間に摩耗していたはずの岡本選手のタイヤも温存された状態。それを3LAPの間に温めなおして抜かなくてはいけない。実質勝負できるのは1周半~2周ぐらいだったことでしょう。しかし焦って滑ることなく、落ち着いてタイヤを温めなおし勝負に入った水野選手素晴らしいです。
セーフティーカーが入る前からもう少しで抜ける位置まで上がってきていただけにかなり痛い展開でした。
そしてこれはYAMAHAの話になりますが、中須賀選手の再スタート直後の気合のあの1コーナーの突っ込みがかっこよかった。
「絶対に勝つ」
背中がそう語っていました。チャンピオンを取り続ける選手のあの恐れない突っ込みには度肝を抜かれました。
結果はそのまま転倒になってしまいましたが、とってもいい意味で、頭おかしい笑
普通出来ない。すごい。痺れました。転んだら元も子もないのは勿論分かっているのですが、岡本選手の調子が良かったこのレースでセーフティカーが入り追いつけたチャンスを絶対に諦めないその姿勢ってマネ出来るものじゃありません。しかも今年他にも大転倒して肩怪我してるんですよ・・・。
そしてラスト3LAPの熾烈な表彰台争い。あまりにも長くなりますから割愛しますが野佐根選手が表彰台にあがったのも嬉しかったです。
もう本当にレース見てください。最高です。鳥肌立ちました。
そしてレース後、水野選手と加賀山監督がまたファンのもとへ。
最高の笑顔を見せてくれました。
そしてファンの寄せ書きを集めたシャンパンをプレゼント
喜んでいただけました(^^)/
3月の開幕直前にギリギリでやってきたドゥカティのワークスマシンと共に、全くデータのないサーキットを回ってきた今シーズン。
大変なことだらけだったと思います。
そんな中、2日間勝ち続けた加賀山監督、水野選手、チームの皆様、本当に感動を有難うございました。
ちょっと興味があるよ、という方、今回ブログを読んで興味を持った方、是非一緒に応援に行きましょう!
JSB1000、全日本ロードレース界は、本当に皆様一人ひとりの応援がまさに選手の力になります。
ここからは現在の全日本ロードレース、いや、日本のバイクレース界について、少し語らせてください。
今年、当店が様々なイベントを時に断念しながら、なぜJSBに力を入れているのか。
日本屈指のロードレース選手権であるJSB1000ですが、主要メーカーが4社(YAMAHA,SUZUKI,HONDA,KAWASAKI)とある日本ながら「毎度満席の超人気レース」というわけにはいきません。
正直なところ、バイク文化全盛期であった1980~2000年代の頃に比べると日本のロードレース市場は先細りしています。
世界では大人気のバイクロードレースですが、日本の場合はレースに参戦するために必要な莫大な費用に対して、スポンサーや市場規模が追い付いていないのが実態とも言えます。
このマシン一つを用意するだけで、数千万と掛かるのです。
そして専用のパーツをワンオフで作りながら調整しつつ全国を移動してレースに参戦する。
並みの金額で出来るものではありません。
これにはスポンサーからの資金提供が不可欠ですが、現状メインスポンサーの椅子が空いているチームも少なくありません。
今年こんなに活躍したDUCATITeamKAGAYAMAですらその現状です。
なぜスポンサーがつかないのか、理由は大きく2つでしょう。
まず露出が少ない。
現在YouTubeのモトバトルライブで無料配信されているもの以外でのメディアへの露出が少ないです。
勿論視聴率が取れるものでないとなかなか主要の有料配信コンテンツやBSなどの配信には乗ることはできません。
視聴率が取れるということはそれだけファンがいて盛り上がっていないといけません。
スポンサーをするということは、勿論単純に応援したいという気持ちもあるとは思いますが、高額な金額を大きな企業が出すにはその分のバック、つまり宣伝広告効果がないといけないのです。
そしてそのために必要なのは「多くのファン」であり、より「多くの人の目に留まる」ことです。
だからこそ、皆様おひとりおひとりの応援が、チームへの応援、貢献につながるのです。
そしてもう一つがワークスチームが現在YAMAHAしか存在しません。
ワークスというのはそのマシンの製造会社が直接運営するチームで、開発元となるのでマシンの事を誰よりも熟知し、性能の向上やセッティングの変更をしやすいというメリットがあります。
また、その製造会社の関連企業や子会社からのスポンサーも取りやすい為資本面でも有利です。
YAMAHA以外のチームはプライベーターと言い、大手メーカー(例えばAstemoやDANLOPなど)が運営したり全面バックアップしたりはしつつも、製造会社そのものが運営しているわけではないチームの事です。大体は市販車をベースにレース用に改造していくわけですが、その点でいうとDUCATITeamKAGAYAMAは一つ違います。
今年はドゥカティが2023年にワールドスーパーバイク選手権で優勝している本物の”ワークスマシン”をドゥカティが提供しているのです。
専属のメカニックも付いてきました。
市販車からレース用に、直接メーカーの手によって開発されたこの車両に技術的に追いつく、追い抜くことはプライベーターではかなり苦しいでしょう。
DUCATIが最新のレースデータから直接仕上げたマシンは世界で一番速いPanigaleV4Rです。
そしてワークスのYAMAHA一強だったJSB1000に一石を投じました。
加賀山監督はその一石によって生まれた波紋が多くの人に、そして他のメーカーにも届くと信じています。
HONDA、SUZUKI、KAWASAKI。レース界から撤退の方向を示しているメーカーもありますが、ワークスとして参加できずとも、プライベーターにワークスマシンを提供してほしい。
そして一緒に日本のバイクレース界を盛り上げてほしい。
身を削るようなこの挑戦には、自らが人生をかけて、文字通り命を懸けて熱意を注いできたバイクレースをこのまま廃れさせやしない、そんな思いを感じます。
そしてその思いに打たれた我々も、片田舎の小さな店ながらも、出来ることは全力で応援したい、そんな思いで今年1年、本当に些細な事でしかありませんがお手伝いさせて頂きました。
ドゥカティの可能性を信じてドゥカティと共に戦う事を決意してくれたその気持ちが、ドゥカティに関わる者として、そしてイチドゥカティファンとして嬉しく思います。
レースに心血を注ぐドゥカティのオーナーである皆様にも是非、日本のロードレースに興味を持って、一緒に盛り上げてほしいのです。
一方で、「知らないスポーツを好きになる」というのは本当に難しいことは理解しています。人の興味というのは、0から引くことはほぼ不可能だと思っています。勿論無理強いもしたくありません。
だから、1だけでも興味を持っている人の気持ちを10に、50に、、100にしたい。
そんな思いです。
↓の写真は昔スイスの空港にトランジットで降り立った時に見たmotoGPの特大パネルです。世界では空港にでかでかとこういったパネルや広告があるほどの人気スポーツ。
だからきっと日本にだって好きになる人は沢山いるはず。
だってこんなに面白いんだから。
来年も是非、皆様の応援をお待ちしております。
加賀山監督、水野選手、
ドゥカティを日本のロードレースに連れてきてくれて、そして素晴らしい走りを見せてくれて、感動の1シーズンを有難うございました!
来年も応援しています!!